確定申告では、さまざまな控除を活用することで税金を抑えることができます。しかし、控除には適用条件があり、申告しないと適用されません。知らないと損をすることもあるため、確定申告の際にはしっかりチェックしましょう。ここでは、主な控除の種類と適用条件、申告方法を詳しく解説します。
控除とは?
控除とは、課税対象となる所得から一定の金額を差し引くことで、納める税金を減らせる制度です。控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。
- 所得控除 → 所得から差し引くことで、課税所得(税金の対象になる額)を減らす(例:医療費控除、社会保険料控除)
- 税額控除 → 計算された税額から直接差し引く(例:住宅ローン控除)
主な所得控除の種類
① 基礎控除(すべての人が適用可能)
✅ 控除額:48万円(所得が2,400万円以下の場合)
✅ 適用条件:全員適用される
② 社会保険料控除
✅ 控除対象:健康保険・厚生年金・国民年金・介護保険など
✅ 適用条件:1年間に支払った社会保険料を申告すれば控除できる
📌 ポイント
- 会社員は給与から天引きされるため、基本的に年末調整で処理される。
- フリーランス・個人事業主は支払った額を確定申告で申告する必要がある。
③ 医療費控除(年間10万円以上の医療費で適用)
✅ 控除額:支払った医療費の合計 − 10万円(または所得の5%)
✅ 適用条件:1年間で支払った医療費が10万円を超えた場合
📌 対象となる医療費
✅ 病院の診察料・入院費用
✅ 処方薬の費用
✅ 歯の治療費(インプラント・矯正など一部適用外あり)
✅ 通院のための交通費(公共交通機関のみ)
📌 対象外のもの
🚫 美容整形
🚫 健康診断(病気の治療が目的でない場合)
📌 申告方法
- 「医療費控除の明細書」に記入し、領収書を保管(提出不要)
- 家族全員分の医療費を合算して申告可能
④ ふるさと納税(寄附金控除)
✅ 控除額:寄附金額 − 2,000円
✅ 適用条件:ふるさと納税を行い、自治体から送られる「寄附金受領証明書」を提出すること
📌 ポイント
- 5自治体以内ならワンストップ特例制度が利用可能(確定申告不要)
- 6自治体以上に寄附した場合は確定申告が必要
📌 申告方法
- 「寄附金控除」の欄に寄附金額を記入
- 自治体から送られる証明書を添付
⑤ 小規模企業共済等掛金控除
✅ 控除額:小規模企業共済・iDeCoの掛金全額
✅ 適用条件:掛金を払っていること(個人事業主・フリーランス向け)
📌 ポイント
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金も全額控除される
- 証明書を添付して申告
主な税額控除の種類
① 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
✅ 控除額:年末のローン残高の0.7%(最大13年間適用)
✅ 適用条件:住宅ローンを利用してマイホームを購入した人
📌 ポイント
- 初年度は確定申告が必要(2年目以降は年末調整で適用可)
- 「住宅取得資金に関する借入金の年末残高証明書」が必要
② 配当控除(株式の配当を受け取った場合)
✅ 控除額:配当所得に対する一定割合(最大10%)
✅ 適用条件:国内株式の配当を受け取った人
📌 ポイント
- 確定申告をすることで税率を低くできる場合がある
- 「特定口座(源泉徴収なし)」で株式を運用している人が対象
控除を活用した節税シミュレーション
💡 例:会社員(年収500万円)の場合
項目 | 控除額 |
---|---|
基礎控除 | 48万円 |
社会保険料控除 | 70万円 |
医療費控除(15万円の医療費を支払った場合) | 5万円 |
ふるさと納税(3万円寄附) | 2.8万円 |
iDeCo掛金控除(年間24万円) | 24万円 |
合計控除額 | 149.8万円 |
➡ 課税所得が500万円 − 149.8万円 = 350.2万円に減るため、税金が少なくなる!
控除の申告方法と必要書類
✅ 確定申告書の該当欄に記入する
✅ 必要な証明書を添付する(例:医療費の領収書、iDeCoの証明書)
✅ e-Taxを利用すると控除の適用がスムーズになる
まとめ
確定申告では、控除を活用することで大幅に税金を抑えることが可能です。特に「医療費控除」「ふるさと納税」「iDeCo」「住宅ローン控除」などは、知らないと損をする可能性があるため、申告前にしっかり確認しておきましょう。証明書の提出が必要な控除もあるため、事前に必要書類を準備し、もれなく申告することが大切です。